J000 世田谷 ツバキ (105/135)

僕は杉並ルシエとフジコを見た。そして大田ユウガを呼んだ。


「フジコさんは僕と一緒に。杉並さんと大田くんは別の方向に逃げてください」


場をうやむやにし、解散。


不法侵入に器物破損。僕には教師という職がある。


この場は、僕も逃げさせてもらおうか。


エイアの派閥だけが、未だ部屋に残っていた。何故、逃げない?


大田ユウガは部屋を出る直前、荒川エイアを見つめていた。


そして大田ユウガが「また……」と言うと、荒川エイアはズシオウマルを抱き締め、「うん」とだけ言った。


その模様を見ながら、僕は出口の脇にいる中央アタルに言った。


「中央アタル、この場の罪と僕の車の件は頼みましたよ。できれば、大田ユウガさんの連絡先も聞いておいてください」


彼は品川ゼロを捕まえたまま「……分かった」、と返した。


奴隷に罪を着せ、僕はガソリンスタンドを飛び出し、フジコとともに逃げた。


リュウオウとの勝負は継続している。だが、時間は20時間以上残っている。


外に出るとガソリンスタンドの事務所は黒い煙を吐き、煌煌と燃えていた。


遠くに、赤い点滅灯が見えた。消防車とともに、救急車。それにパトカー。


今はこの場を離れるのが先決だ。