J000 世田谷 ツバキ (104/135)
「もしもし? 警察ですか?」
意外な一言だった。
フジコが鼻で笑った。
「この期に及んで通報?」
と、言ったのと同時に、彼女はヒールを脱いでいた。
電話の相手に、リュウオウはこのガソリンスタンドの住所を言った。
「今さらなに真っ当なことしてんだよ!」
ミナミが慌てだし、練馬さんにも落ち着きがない。皆、無意識のうちに出入り口付近へ近づいていた。
リュウオウは携帯電話をたたみ、床に置いたタブレット端末にしゃがみ込んだ。
「お前、近くにいるんだろ? 探すからね」
タキオは何度も「ゼロ! ゼロ!」と叫んだ。ゼロは中央によって羽交い絞めにされ、足立シヲリもそれを手伝っている。
不意にリュウオウが足立シヲリを呼んだ。ジュリアと他の奴隷を連れ、リュウオウもこの部屋を出ようとしていた。
中央アタルは品川ゼロを押さえたまま、足立シヲリを出口へ押した。
中央は何も言わずに優しく微笑み、足立シヲリの瞳はいつの間にか真っ赤になっていた。