J000 世田谷 ツバキ (101/135)

首元に鳥肌が沸く。僕ですら戦慄した。


赤い炎に照らされた品川ゼロの涙は、血のように見えた。


殺したくないと泣きながら、犬の首を絞めるゼロ。彼の背には炎。


もしもズシオウマルが人間の言葉と行動を、人間の5歳児と同じほどに聞き取っていたならば。


この状況とゼロの行いに〝死〟を予感せざるを得まい。


「や、めろォ!」


荒川エイアと大田ユウガが同時に駆けた。


「う、動かなひでください」


しかし、品川ゼロはズシオウマルの体をこちらに向けた。


荒川エイアが立ち止まり、大田ユウガの体を制した。


「ズシ!」


ゼロの右手には包丁が握られていた。


ズシオウマルはゼロの抱擁によって、ぐったりとしていた。無理もない、アーデルハイト戦ですでに満身創痍だった。


「どうすればいい? ご主人様」


フジコの小声に、僕は何も答えなかった。どこか、この状況の行く末に興味があった。ただ静観をしていることが、義務であるかのように、僕の足は床から動かなかった。


決して、怖いからではない。



「その犬がどうなろうと、俺には関係ないぞ」



大田ユウガと荒川エイアの間から、中央アタルが現れた。