J000 世田谷 ツバキ (100/135)
画面の先で、中野タイジュの首にタキオの腕が伸びた。
喉を押さえられ、彼は苦しそうに呻いていた。
足立シヲリが「中野ちゃん!」と叫ぶなか、視界の外れで白い影が動いた。
「ズシ!」
「ガアアアッ!」
ズシオウマルが、品川ゼロへ向かって駆け出した。
「う、あ!」
ズシオウマルはテグスを潜り、ゼロの喉に噛みついた。
「いけ! やれ! ズシなんとか!」
北ミナミが叫ぶなか、品川ゼロはゆっくりと手を広げた。
「えっ?」
そして、左手にタブレットを持ったまま。ズシオウマルを抱き締めた。
「ごめんね。……ごめんね」
品川ゼロは泣いていた。それはもう悲しげな瞳で。天井を仰ぎ、頬に涙が流れていた。
「ガッ、ゴッァ!」
「ズシ!」
ズシオウマルに首を噛まれたまま、品川ゼロは彼を抱擁し、さらに力を込める。
ゼロの首からは、すでに血が流れていた。なんという自虐的なおこない。見たことがない。あんな男。こんな戦い。怖くなんか、ない。
「……殺させないで。お願いだよ。君を殺したくない」
聞いたことがない、あんなにも矛盾した言葉。
「……ブアメードの血」
フジコがそう呟いた。