J000 世田谷 ツバキ (99/135)

「なんか見たことある顔もいるな……けど、ま、どーでもいいや」


タキオの指示に、品川ゼロは葛飾アンジュにタブレットを向けた。


タキオ側もこちらの様子を中継しているのだろう。葛飾アンジュの姿を見た瞬間、その瞳をシロフクロウのように細めた。


「早く決着をつけろよ」


腕に濡れタオルを巻き、フジコが言った。


「あんたには関係ないでしょうよ」


画面の先で、タキオは口を大きく開けた。醜く曲げた舌と歯の隙間に、SCMの針金が見えた。


「参加してんだよ、俺も」


中央アタルが携帯電話を開き、GPSを確認した。そして首を横に振る。30メートル以内にいた。奴も。


「あ、そうそう。どいつの奴隷だが知らないけど、2人貰ったから」


ディスプレイが、車の後部座席を映した。


「……中野ちゃん!」


そこには、傷つき倒れた中野タイジュと文京ゼンイチの姿があった。中野タイジュの肘が動いた。


意識はあるようだが、服は汚れ自身を抱いて呻いている。2人は車で病院に向かっていたはず。


「何したの!」


涙目の足立シヲリに対し、港タキオは薄ら笑いで言った。


「ちょっと車でこづいただけだよ。それよりも早く決着をつけろ。さもないとこのハゲとチビ、泣かすぞ」