0006 豊島 アヤカ (26/64)
ヘルプ君はグラスを掲げ、乾杯をしようとしていたが、あたしは突発的にセイヤの方を見た。
セイヤもあたしを見ている。セイヤもアラームに気付いたんだ。
セイヤは客のババアに何か言うと、あたしの卓に来た。
「今 鳴ったよね」
「ああ」
あたしとセイヤのやりとりに、若いヘルプ君は笑顔で「どうしました?携帯すか?」と会話に入ろうとする。
ヘルプとしては正しい行動だが、今のあたし達はそれどころじゃない。悪いけど、ここからはセイヤとあたしの絆の世界。
するとまたSCMが鳴った。
2回目、15Mだ。
「っしゃいませー!」
店内に新しい客が入るかけ声でビクッとなる。
若いヘルプ君とセイヤは、かけ声を反射的に繰り返す。
あたしは首を伸ばし、ドアから入る客を見ようとした。
今入って来た客は間違いなく、SCM所有者だ。
店の出入口を見ると、そこには若い男女が立っていた。
男は肌が黒くて背が高い。比べて低いが女も背が高い。
なんか、あの2人。どこかで見たことがあるような。
あたしは目を細くして、出入口の男女を注視していたが、セイヤはすぐに振り返り、あたしを見る。
「見ちゃ駄目だ バレる」
「あ」