J000 世田谷 ツバキ (92/135)
「そうでもしないと、あんたを引きずり下ろせない。練馬さんをリュウオウへ渡すのと引き換えに、エイアは彼と取引をした」
荒川エイアは言った。
「もう、SCMの戦いをしない。っていう取引」
「なんだ、と?」
「うんざりなんだよ。奴隷にするとかしないとか」
リュウオウは冷めた視線で僕を見下した。生意気な、その瞳で。
「練馬さえ手に入れば、僕ももういい」
練馬会長が首を左右に曲げて言った。
「ほほ。ワシ、人質」
ああ。もう少し。もう少しで沸くぞ。
僕は深呼吸をし、熱い吐息を吐きながら天井を見上げ、目をつむった。
僕の怒りが頂点まで沸騰しそうだ。
大田ユウガ。割ってやろうか、そのアゴを。あのコップのように。
そのとき、リュウオウが一歩前に出た。
「そのユウガって奴のお陰で分かったよ。Jの正体」
僕は小さな彼を見下ろした。
「……この場で使わせるのも、目的の一つでしたか」