J000 世田谷 ツバキ (81/135)

「うぅわ、燃えとる燃えとる!」


フジコの腕の炎が、練馬さんと北ミナミの慌てた顔を照らした。


が、フジコは手を引っ込めなかった。


「……最近…ッ便秘気味なの」


全員がフジコの服に燃え移る炎を凝視していた。


リュウオウが再度、「叫べ!」と叫ぶ。


「止めて! 早くこんな勝負止めてよ! リュウオウ様に燃え移っちゃう!」


ジュリアが騒ぐなか、炎を間にリュウオウとフジコは睨み合った。


無理問答から我慢比べ。


息が途切れるのが先か、手が焼けるのが先か。


眼鏡に炎を宿し、頭のおかしい女が言う。


「私はシンノスケと会うまで死なないッ!」


儚い吐息でリュウオウは言う。


「さ、けべぇ……!」


叫ぶことも話すことも許されない。耐え忍び勝ちゆく勝負。


無理問答の真骨頂を僕は見た。