J000 世田谷 ツバキ (79/135)
「がっ、あなたの風邪に狙いを決めて……」
こんな状況でも、リュウオウはどこかで聞いたようなキャッチコピーを発言した。緊急用の引き出しか。
「ふざけないで! 実力行使じゃないの!」
ジュリアがフジコのイスを蹴る。が、僕がそれをとめた。同時に、僕は中央アタルへ目を配った。
ジュリアを筆頭にリュウオウの他の奴隷も前に出るが、「すまんな」と言って中央アタルが彼らの前に立った。
「中央さん! とめてよ! リュウオウ様を助けてよ!」
ジュリアの訴求に、中央は大田ユウガへ視線を滑らせた。
「……ルールに危害を加えるなとは言ってない。他者が妨害するほうが問題だ。そうだろ?」
大田ユウガは首を横に振った。
「いんや。やり過ぎだよ。台東フジコ、早く手を離せ」
それでもフジコは手を離さなかった。その間も、リュウオウはCMのコピーをつぶやき、フジコは「死」を繰り返した。
荒川エイアが僕を睨んだ。
「彼女に手を離すよう、命令して」