0001 港 タキオ (15/19)

「勝った人間のモラルが罰ゲームの重さを決めるんだ 君らが勝てばさっきの通りシャンパンでもいい 僕らが勝てば一気でもいい 勝った奴がそれを決めるけど 何でもってのはただ罰ゲームの枠を広げただけだよ」


誰も僕の言葉を理解した様子は無かった、ただ面倒臭いのだろう。


「うん ウチはそれでいいよ」


名無しのキャバ嬢がまず納得した。こいつ少しなまってんだよな。田舎上がりが。


だが、いいぞ名無し。肌は黒いが、お前は典型的な日本人だ。


「あ ていうかジュリアちゃんが1番で勝って あたしが4番で負けたら?」


あっ。


名無しの発言で我に返る。同性同士の勝ち負けは、たしかに考えていなかった。


「同性同士が勝ち負けした時は もう1回戦でよくね?」


友人がフォローしてくれた。すでにグダり感が出ているが、僕はとにかくゲームを進めたかった。


「じゃあそれで行こっか」


ジュリアもすぐに承諾し、ジュリアの承諾で友人も承諾した。


承諾してくれれば、納得はしなくていい。長い熱弁は納得してもらう為ではなく、面倒臭いと思わせる為のものなんだ。


「じゃあみんなタバコ吸ってー」


ジュリアの合図に皆がタバコを取り出す。


同時に僕の口の中のSCMから。


『 カチ 』


という音がした気がした。


順番は事前にした、ジャンケンで決まっている。


僕>ジュリア>友人>景色の順番だ。