J000 世田谷 ツバキ (64/135)
荒川エイア派閥、大田ユウガの提案。
彼はドーナツ状になった僕たちを見渡した。
「〝無理問答〟って、知ってる?」
豊島アヤカが首を傾げた。
「むり、もんどう?」
「そう。僕の高校時代に流行った言葉遊びさ、厳密には江戸から伝わる言葉遊びなんだけど、現代でも少し違う形で伝わっている。ま、ルールは超簡単だよ」
ユウガはタバコに火をつけ、火種で僕を差した。
「会話のキャッチボールを禁ずる、っていう遊びさ」
無理問答。
2人以上で行える、会話のキャッチボールを禁ずる遊び。
例えば、Aさんが「こんにちは」と言っても、Bさんは「こんにちは」と返してはいけない。
相手の会話に、少しでも合わせてしまったら負け。
意地でも「お互いの話をシカトするしかない」という遊びだ。
「くだらな」
ジュリアの呆れ顔に、大田ユウガは微笑む。
「いや、意外と面白いよジュリアちゃん、というか難しいんだなこれが。返事は2秒以内にしよう」