J000 世田谷 ツバキ (63/135)

文京ゼンイチは、中野タイジュとともに病院へ向かった。リュウオウ派閥はこの場に、5人となった。


ポツ、ポツと、ひとつ、ふたつと。


視界の外れで、小さな線が縦を描く。


「あら……雨ね」


僅かな雨音は、やがてコンクリートの香りがたつほどの、雨になった。


屋根はあるが、雨音は会話を濁す。


誰が切り出したわけでもなく、僕達はガソリンスタンドの事務所へと入って行った。


鍵はかかっていなかった。そのためか、ガソリンスタンドの事務所内は、荒らされていた。


数年前のカレンダーや、腕の割れた招き猫が床に転がり、大型のデスクはすべて部屋の端へ移動していた。


3脚のイスを中央に並べ、そこに僕とリュウオウ、そして大田ユウガが座った。


主人の周りに、各派閥の奴隷達がかたまっている。


エイアは少し離れたソファーで、ズシオウマルとともに座っていた。


僕は言った。


「続けて、二回戦目を行いましょう」


大田ユウガが言った。


「僕からの提案がある」