J000 世田谷 ツバキ (62/135)

再び、あの妙な声が聞こえた。



「えいはああ!」



それは消え入るような砲台から出る、錆びついた砲音だった。



「今、エイアって……」



「えいはあああああ!」



誰かの声じゃない。



「ズシオウマルが……喋った」



ズシオウマルの声だ。



エイアか……ふん、聞こえなくもないが。くだらん。偶然だろ。


「あっ」


フジコの隙を突き、エイアが彼女を突き飛ばした。


「ズシ! しっかりして!」


エイアはズシオウマルを抱え上げ、自身の奴隷達の下へ戻った。


「死なないから! あんたは死なないから!」


彼らの影から、そんな声が聞こえた。


「アクシデントや余興はありましたが、僕達の勝ちで、依存ありませんね」


僕の投げかけに、荒川エイアもリュウオウも、何も言わなかった。


(失敗しちゃった)


ブアメードの血。続きがあれば、また今度。


フジコの囁きとともに、一回戦はアーデルハイトの勝利で幕を閉じた。