J000 世田谷 ツバキ (53/135)

リュウオウが突然、車のボンネットを叩いた。


「ゼンイチ! 早く決着をつけろ!」


「はいよ!」


ゼンイチが大きく口を開けた。


「まさか、噛みつく気!?」


「ボアアアア!」


直後、赤子にも似た犬の鳴き声が聞こえた。


そのまさかだった。


ゼンイチは口元を歪ませ、アーデルハイトの首下に噛みついた。


「ぐあああ!」


直後、ゼンイチも雄叫びをあげた。


「相打ちだ……」


アーデルハイトも、ゼンイチの耳に噛みついたのだ。


「あっ! ズシ!」


噛み合う2匹へ、ズシオウマルが音もなく近づいていた。


「オンッ!」


何をするかと思えば、2匹の頭へ飛びかかり、引き離すように蹴ったのだ。