0006 豊島 アヤカ (21/64)
あたしの勢いに、セイヤは数秒黙った。恐怖や怒りを表現しきれないような複雑な顔。
「分かった」
セイヤはそう言うと、前の女の荷物をラックの中に押し込み始める。
「あたしも手伝ってあげるから」
少し言い過ぎたかと思い、あたしはそう言ったけど、セイヤは何も言わずに作業を続けた。
この気まずさに比べたら、別に捨てること無かったかなと思った。
けど、セイヤと前の女の写真を見つけ、破きながらラックの中に押し込んだ。
作業を終えた夕方、セイヤは仕事に行った。あたしはその日も仕事を休んだ。
セイヤの為にお金を稼いでいたけど、セイヤとは毎日一緒にいるから仕事に対する意欲が無い。
それに、このままセイヤの専業主婦になることしか、あたしの頭には無かった。
夜中手前にセイヤは1度帰って来たけど、早朝にまた仕事に行く。
No.1のセイヤなら1部と2部両方の出勤をする必要は無いが、仕事を頑張れと言った、あたしの指示を忠実に守っている。
セイヤって素敵。
SCMって素敵。
あたしは歯の裏にハメた金具を舌で舐めながら、そう思った。