J000 世田谷 ツバキ (47/135)

アーデルハイトは三角形を描いてステップを踏み、ゼンイチの足技を避け、ズシオウマルにはさらに距離を置いていた。


満身創痍のゼンイチに残された時間はあとわずか。


リュウオウの言うとおり、守りより、攻めに徹したほうがまだチャンスがある。


ズシオウマルも、ゼンイチが立っている今のうちに、率先してアーデルハイトに攻撃を仕掛けている。


だが、アーデルハイトに攻撃は当たらない。


彼女の速さは2人の動きを凌駕し、弄(もてあそ)んでいるようにすら見える。


61式戦車に対するサイコガンダムの域だよ。


「ふふ」フジコと同時に声が漏れる。圧倒的だよ。


「ガアッ!」


僕の目前にアーデルハイトが立ったとき、ズシオウマルが牙を向け、前足と後ろ足を狭めて駆けた。


アーデルハイトの足に力がこもっているのが分かる。


無駄。ズシオウの渾身の突進も、避けられる。


ほら、避けられた。


「ん?」


だが、ズシオウは止まらなかった。


「ガアアアッ!」


「う、お!?」


ズシオウの牙は、そのまま僕に向けられていた──。