J000 世田谷 ツバキ (46/135)

だが、ゼンイチは既に手負い。


手で押さえた首。指の隙間から血が滲んでいる。


勝負はあの2匹のうちの一択。


ズシオウマルVSアーデルハイトか。


「ほら、勝負はもう始まってるわよ、ゴウッ! アーデルハイト!」


「ダバフッ!」


アーデルハイトは後ろ足で地面を蹴り、爆発的にゼンイチとの距離を縮めた。


「このクソ犬ボケッ!」


ゼンイチは襲いくるアーデルハイトを右手でけん制し、左足で自身の重心を支えている。


「ズシ!」


「オンッ!」


着地したアーデルハイトに、ズシオウマルが牙を突き出すが、彼女は身を引き、その瞳にゼンイチを捉える。


「ゼンイチ! 引くな! 早期決着を狙え!」


「ああーあっ!」


やけくそな返事の直後、ゼンイチの蹴りが宙を舞った。