J000 世田谷 ツバキ (31/135)

彼女は首を横に振った。


「信じる気はなかった。罠の類だとも、未だに思ってる」


「この期に及んでぶっちゃけますね」


荒川エイアはリュウオウ、葛飾アンジュへと視線を滑らせた。


「けど、彼女は自分のSCMをあたしに渡してきた」


荒川エイアの手には1つのSCMがあった。他の物と輝きが違う。あれは、最近僕が直した物。


つまり、葛飾アンジュ本人のSCMだ。


「ふうん。共闘という訴求の代わりに、自身を人質にしたの。覚悟だけは本物ね」


台東フジコのつぶやきに、葛飾アンジュは彼女をキッと睨んだ。


「アンジュは、リュウオウさまのためなら、何でもする。できる」


泣かせる。葛飾アンジュはリュウオウの目的を果たすため、自身を投げ出す最後の手段に出たのか。


本質は、おそらく練馬ヨシムネを主人であるリュウオウへ差し出すため。


この話になった途端、リュウオウくんはアンジュを睨みだした。


当の本人はそれでも凛とした姿勢で、僕達に向かい合っている。


第三段階の奴隷、葛飾アンジュ。


面白い行動だ。


主人のためと判断したならば、主人の意にも平気で背くのか。