J000 世田谷 ツバキ (21/135)

僕には理解しがたい世界だ。


直接助けはしない。助かる力を、僕は与えた。


SCMはただ投げるだけでいい。


やがて僕は説得をやめた。


混沌とする少女の心に、SCMとその説明書は因子、即ち種となり、やがて行動に移させる。


きっかけは時間、初めは効力を疑い、苦渋し、決断に至らせる。


その効力を試さず、生きれる者はいない。トライアルを行わない者はいない。


現在、SCMをつけている者は皆、そうだったろう。


北ミナミは2つのSCMを受け取った。


結果、借金はうやむやにすることができた。


北ミナミは祖父である練馬ヨシムネを奴隷にした。


「それがこれまでの経緯で……」


「キャッ!」


僕が話し終える直前、車が揺れた。


外を見れば、フルフェイスヘルメットを被ったライダーがバイクに乗って、隣接していた。


スポーツタイプのバイク、乗り手は恐らく新宿セイヤ。


前方は赤信号で、現在車は停まっている。


ここは国道一本道。この時間は車間が狭く、車も多い。


「あら、私のドーベルマンもいる」


その後ろには、半ヘルを被った文京ゼンイチがゴルフクラブを持ってこちらを睨んでいた。


「どっわい! 降りろっつてんだろ! 一緒にゴルフしようぜ!」