J000 世田谷 ツバキ (18/135)
だが、僕はその未完成を愛した。敢えて残した。
面白いじゃないか。
勝負によって主従を決定する。
僕独自の研究によって、その理由は至極単純なものだと判明した。
敗者という認識が服従のトリガーになる、というものだ。
勝負によって互いの優劣を決定し、精神への作用を容易にする。
「なるほどねぇ」
台東フジコは僕の手をマッサージしながら、視線を杉並ルシエの後頭部へ移した。
「もう1つ、よろしいですか? ご主人様」
「ええ、どうぞ」
「私の前任は、あなたの子を孕んだの?」
あの女か。
「ハハッ、また突然ですね」
フジコはただ、微笑んでいた。
「……はい、そうです」
「彼女にもSCMを使ったの?」
「いいえ、使う必要はありませんでした」