J000 世田谷 ツバキ (17/135)
研究に関われば関わるほど、その力を人間に試さずにはいられなかった。
「ただ、SCMを量産する上で、幾つか不可解なことがありました」
「……勝負、のこと?」
「勘がいいですね、フジコさん。そうです」
車は穏やかに進み、僕を家へ運ぶ。
「SCMの勝負を要する、という制約。あれは初めから入っていました」
「初めからって……ご主人様が取り入れた機能じゃなかったの?」
「そうです」
勝負が必要なのは、実は初めから墨田教授オリジナルのSCMに入っていた。
研究に携わった学生達の誰もが知らない事実だった。
「その教授は、遊び好きだったの?」
「いいえ、副作用みたいなものです」
SCMにはブラックボックス、製作者の墨田教授にも調整しきれない部分が存在したのだ。
それが勝負を要するという部分。
勝負とスレイブコントロールは、切っても切り離せない方程式のような関係だった。
彼はその点を懸念し、メソッドの完成とは言わなかった。
当時、墨田教授が作った試作機にもその機能は備わっている。