J000 世田谷 ツバキ (7/135)
「家にはいなかった」と答えながら、フジコはバッグから3つのSCMを取り出した。
「でも、彼らのSCMはあった。慌てて逃げたんでしょうね。新宿セイヤの分もあるから、あとで電話してあげなきゃ」
台東フジコはヒールの先で、中央アタルの足をさすった。
「ぐ、あ……俺たちのSCMを24時間取り上げて、根競べする気か」
アスファルトで擦りむいたのか、彼の頬には血がついている。
「全治2週間ってとこかしら、中央さん。それも楽しそうだけど、私の新しいご主人様はリュウオウちゃまより短気なの。えっと、中央さんのは……0011、これね」
彼女はSCMの1つにガムテープを添え、中央アタルの頬の傷口にそのまま貼り付けた。
杉並ルシエは「くぅぅ」と泣く子犬のような声を漏らし、痛みに耐えている。
彼女は脚を擦りむき、膝から血が垂れていた。
「そんなオーバーに痛がらなくても、世田谷さんと私の共同作業で大事には至ってないわよ」
台東フジコはそう言って、SCMの針金の先に杉並ルシエの血液を付着させ、それを彼女の頬に貼った。
「何を……する気だ!」
中央アタルが僕の足を掴み、睨みつける。
「さすが、歴戦の勇士アタルさん。タフですね。こういうことですよ」
パンッ、と僕は手を叩いた。
『カチッ』
その音を聞いた瞬間、2人の表情が青ざめる。