0022 江東 キヨ (29/34)

「ねえ」


ゼロが消防士に尋ねた。今度はハッキリと声が聞こえた。


「この人は誰?何が起きたの?」


消防士がゼロを抱き締める光景に、おれは安堵した。


それでいい。何もかも忘れろゼロ。



おれの罰は死んだこと。



おれの罪は息子の前で死んだこと。



外は暑いから、あの子に水筒を持っていかないと。



全ての罪と罰を胸に秘め、おれはゼロのなかに生きる──。



──結末の先を少しだけ教えるよ。



児童養護施設に引き取られたゼロは、施設長夫婦の姓を受け、品川ゼロの名で生きた。


施設長の奥さんは心配症で、ゼロを不憫に思ったのか、ゼロとおれにとって小さな繋がりとてがかりである江東の名字を変えさせ、真実を教えるのはゼロが18歳になってからと言い出したんだ。