0022 江東 キヨ (22/34)

あれほど痩せろと言ったのに。痩せてたら、もう30年は余裕で生きただろうに。


あんたが結婚した男はアル中の上に、ギャンブル狂いで、挙句に人まで殺してしまった。


後ろ指さされるような人生のなか、1人娘も父親のいない子を妊娠して帰ってきて。


散々な人生だったね……お疲れ様。


泣くことはなかったけど、心にポッカリと穴が空き、どこか同情にも似た感情を、おれは母ちゃんに抱いていた。


ねえ母ちゃん、幸せだった?


問いかけた棺のなかには、安らかに眠る母親の顔があった。


そんななか、部屋に置かれた棺へゼロがズンズンと進んで行った。


「え?おい、ゼロ!」


あろうことか、たかが4歳にも満たないゼロは、棺に眠るばあばの胸ぐらを掴み、こう叫んだんだ。


「ざっけんなよ!ふざけんなよ!」


ゼロは、ばあちゃん子だった。


初めて直面した人の死に、この子は純粋すぎる行動をとってしまったんだ。


「やめろゼロ!」


「うるせぇ!ああ!ちくしょう!寝んなよ!寝てんなよ!起きろよクソババア!」