0022 江東 キヨ (14/34)
一晩中語ったよ、それから。くだらない話ばかりだったけど、楽しかった。
ただ危険な南国へ、自暴自棄な旅行に行ったがけだったのに。
キングストンとストーニーヒルの間、コンスタントスプリングにあるゲストハウスの名もなきバーで知り合った、海賊みたいなくせに、やたらと頭のいい、このおっさんに、おれは興味を持っちまった。
この出会いがおれの人生を大きく変えたんだ。
帰国後も、おれ達は連絡を取り合った。
始まりは小さな事故だった。
なあ、自分の性器を触ったことのない奴っているかい?
いるなら是非聞きたいね。
ねえ?どうして触らなかった?興味無いのか?
嘘だろ?すげーなあんた!
それと同じ様に、おれも興味が無い訳なかった。
彼はおれに女を教えてくれた。
初めて抱かれたのは海辺の道路に停めた車の中。
12歳まで自分は男だと、家の柱に刻んだ女が。
殺人の血が流れる自分の遺伝子を、決してこの世に残したくないと誓った女が。
この静かで残酷な海辺の片隅で、ただ、そっと恋をしちまった。