0022 江東 キヨ (13/34)
言い方がよかっただけかもしれないけど、なるほどと思っちまった。
「人間の脳波を動物が汲み取ってくれる、ペットとのコミュニケーションの発展、更には躾(しつけ)にも応用できる」
「言いたいことはなんとなく分かったけどさ、実際にはできないっつぅか分からないんだろ?」
「そう、問題は山積みだよ。けど、脳波だけでなく、体液や血液という手がかりもあれば、人の精神の共有は可能へ一歩近づく」
「体液とか血?うえ、身体に埋め込むのとか嫌じゃねえか?」
おれの言葉に、墨田は人差し指で、口をイーッとさせた。
「くひのなかなら、すべて採取できる」
「そんなことできるのか?」
「できるかできないかのギリギリで勝負するのが男さ。勝ちの見えた勝負に何のロマンがある。そこに成長も発展も存在しないだろう?見込みでは40年かかる。だが僕は余生に、この全てを懸けたい」
ポーカーで勝負をする博打打ちのようなセリフを、子供のように目をキラキラさせて、彼は言ったんだ。
「ふうん……ハッキリ言って、言ってることはわからないけどさ」
「あ、ああ」
「くそマジメで寂しがり屋なんだね、あんたって」
おれがグラスのフチをなぞりながら、そう言うと、彼は唖然とした表情の直後、また笑い出した。
「ははっ、君は面白い女だ」