0006 豊島 アヤカ (13/64)

やだ。セイヤはペットじゃない。


あたしの崇高なる、ソウルフレンドに近い存在なんだから。


たとえSCMの作用で奴隷になっても、セイヤはあたしの大切なんだから。


この説明書を読んでいると、あたしの心の光輝く白い部分に、いやらしい黒とピンクが侵食するような感覚になる。


携帯の時計を見ると、カラオケの退出時間も近づいていた。


あたしは説明書を閉じ、セイヤに2つの指示を出した。


1つ目は、今まで以上に仕事を頑張る事。


2つ目は、彼女と別れ、あたしと暮らす事。


セイヤは、数秒後に「分かった」と言った。


もうじき3月になる今も、まだ外は寒い。


あたしとセイヤはカラオケを出て、都内の繁華街の夜を歩く。


いつもだとセイヤとあたしは、ただ隣を歩くだけ。


けど今日は違う。


「セイヤ 腕」


あたしがそう言うと、セイヤはもう自分が何をするのか分かっているのだろう。


肘(ひじ)を開き、スーツを着たお腹の間に空間を作ってくれた。


あたしはそこに自分の腕を差し込み、セイヤと腕を組んで歩く。


ああ。これ、夢だったんだあ。


前に1度だけ腕を組むことを望んだけど、その時は「他の客に見られたら」と柔らかく断られた。


けど、今は違う。