0021 千代田 マリヤ (84/85)
「いやあ 夜分遅くにすみません」
急に来た警察は「実はですね」から始まり、数分後には帰って行った。
何でも、この付近で女性の叫び声が聞こえたと言う。
近所の人間からの通報で、この辺りに住んでいる若い女性は「千代田さんところの娘さん」ぐらいだから、と見回りに来てくれたそうだ。
もちろん、ぼくの身には何も起きていない。叫び声も聞こえなかった。
通報も一方的なものだったし、イタズラだろうか。警官はそう呟いた。
「何事もなくて 何よりです」
おまわりさんは、そんなキレイ事を言って、ぼくの家をあとにした。
部屋へ戻り、映画の続きを観ようとしたとき。突然、窓が開いた。
もう慣れたよ。チャイムが鳴るより、こっちのほうが安堵する。
「いー加減 玄関から……」
キヨゼロ。彼はいつも窓から来る。
「ね……誰?」
じゃない。違う。この人、誰?
「え?キャッ!いや!」
侵入者は、突然ぼくに襲いかかってきた。