0021 千代田 マリヤ (76/85)
下らな過ぎるその勝負は、意外にも7つのSCMが偽物だったという結果で終わった。
シンノスケくんは、その現場に遅刻してしまったため、その結果しか知らない。
けど、その7つの偽SCMに1つだけ本物が紛れ込んでいたそうだ。
「それが このSCM?」
「はい」
「それで……何で壊れてるの?」
ぼくの質問に、シンノスケくんの表情がさらに暗くなった。部屋に重い空気が渦巻く。
「あの病院で ある女性と会った……年上だけどすごくキレイな人だった」
「え?うん」
突然、何の話かと思った。しかも、あの病院で会った女性って、もしかしてぼくのこと?
「名前も知らない人だけど 患者さんで よく喋る人で なんか意気投合しちゃって 俺も夢中で話してて」
聞いていく内に、ぼくのことじゃないことは分かった。きっとその女性と何か、あったんだ。もしかしてSCM所有者だったとか。
「病院の休憩所……座るところで話してて 結局その人とはおしゃべりをするだけで終わったんすけど バイバイしたときに 俺気付いちゃったんすよ」
言いようのない期待感が膨らむ中、彼は顔を上げてこう言った。
「……ケツポケットに入れたままイスに座っちゃった って」
「は?SCMを?」
「……はい」
「それで壊れたのか!?」
「そうです……」
何それ。メガネじゃないんだから。