0021 千代田 マリヤ (67/85)
ソファーに座っていたキヨゼロは、玄関から出てきたぼく達を凝視して立ち上がった。
「オッス!オラシンノスケ!」
「おっ……おう」
バカバカしいシンノスケくんの挨拶に対しても、キヨゼロの表情は真剣というか、瞳孔が広がっちゃってる感じ。
彼の挙動1つ1つに慎重さを感じる。キヨゼロの緊張感がこちらにも伝わった。
「……シンノスケか?」と小さく呟く彼に対しぼくは頷き、本人は「はい!」と元気良く応えた。
バカバカしいやり取りにも見えるのに、キヨゼロは今にも泣きだしてしまいそうな顔で、ぼくを見ると。
「ありがとうマリヤ……」そう言った。
「え?あっ うん」
その様子で確信した。信じた。この人信じてる。
シンノスケを本当の息子と、キヨゼロは信じたんだ。
ぼくが作ったアドリブのシナリオを、嘘を。
今にも吹き出してしまいそうな茶番だけど、確かに並んでみると彼ら2人はよく似ていた。