0021 千代田 マリヤ (66/85)
近くまで来たら迎えに行こうかと思っていたけど、分かったんだこの場所が。
ぼくが玄関に向かおうとするとキヨゼロは「ちょっと待って」と引き止めた。
「どうしたの?」とぼくが聞くと髪をイジリながら「おれ 変じゃないかな」って。
「変だよ」
母親が息子の身体を乗っ取って、その兄弟に会う。うん、どっからどう考えても変だよ。
ぼくの言葉でキヨゼロは舌打ちをしながら窓に映る自分の姿を確認していた。
そんなキヨゼロを尻目にぼくは玄関へ向かい、いつもより強くドアを握る。
いよいよ感動のご対面だ。
「お邪魔しまーす……」
ファー付きの黒セーターにタンクトップ。昼に会った時と同じ格好だった。
ぼくが家に入って来たシンノスケくんの顔を見ると、彼はわずかに頷いた。
特殊な状況ではあるけどやるべき事は既に話している。
室内で会うとシンノスケくんが余計大きく見えた。彼は少し身を縮め、廊下の縁側を通り過ぎた。
「ほら 約束通り あなたの息子のシンノスケくんだよ」
そして遂に2人が出会った。