0021 千代田 マリヤ (56/85)

その日の夜中、家でくつろいでいると、突然一階の縁側の窓が開いた。


キヨゼロだ。


「……もう いい加減 ドアから入ってよ」


突然の来訪だけど、驚きよりも呆れの方が強い。毎回これだもん、いい加減慣れちゃった。


けどヴァニラを置き、ソファーから振り向いた瞬間、ゾクッとした。


窓から覗く夜の鬼。そんな言葉が過ぎった。


身体中、至る所に葉っぱが付いてる。泥も。


ぼくが注意しても、キヨゼロはその広い唇を歪めヘラヘラと笑っていたの。


顔に吹き出した汗を拭うその手には、小さな金具が。


「それって……まさか」


「ああ 奪ってきたあ」



亀裂の様な笑顔。



セミを捕まえた少年の様に、彼はぼくに2つのSCMを見せてきた。


SCMは既に1個、キヨゼロから渡されたものをゲッコウに渡している。それは普通に誰かからカツアゲしたものだと言っていた。


ゲッコウを利用する為に、頼んでもいないのに渋々渡してきたけど、彼は更に2つ、SCMが必要だと言っていた。


その2個のSCMも今、キヨゼロは奪ってきたんだ。