0021 千代田 マリヤ (57/85)
彼が持って来たSCMは2つとも裸で、箱や説明書も無かった。
そして、その内の1つには血とピンク色の肉が付いた誰かの“歯”が1本、挟まれていた。
一瞬でそれに気付いて、ぼくはゾッとしたんだ。
「だっ 誰から奪ったの?」
「知らね」
そう返しながら、向かい側のソファーに座り、キヨゼロは目前に置かれた缶ビールを開けた。
「知らないって どういうこと?」
「夫婦だった」
「え?」
「GPSってやつで辿ったんだよ したらその夫婦がSCMを持ってたんだ」
「夫婦って どういう事?」
「マリヤ 何だっけ?ほらインターネットのS…SNナントカって アニメみたいなキャラクターになり切るバカみたいなやつ」
「もしかして SNSのこと?」
SNS、ソーシャルネットワークサービス。
色々な種類はあるけど、ネット上でプロフィールを作成し、サイトによっては仮想空間を行き来する自分のアバターを作ったりゲームが出来る。
「そうそうそう!それ!何なのあれ!?今あんなファミコンみたいなのが流行ってんの!?」
キヨゼロはビールで喉を鳴らすとゲップをした。確かに、17年前の過去から来た彼女だったら、SNSの仕組みや魅力なんてそうそう理解できないだろう。