0021 千代田 マリヤ (47/85)
ちょうどイヤホンを外した瞬間で、名字は聞き取れ無かった。
けど、確かに受け付けは言ったよね。ぼくは聞いたんだ。
シンノスケって。
ぼくは皮膚科の検診を受けて、これから診察代を払う所だった。
そいつも診察代を払う所だったみたいで、ぼくの後ろのベンチから立ち上がって、受け付けへと向かっていたんだ。
後姿だけでも分かる。病院に不釣り合いな健康過ぎる雰囲気。
肌が黒くて、金と黒の髪の毛。
頬にガーゼを貼り、手元も包帯が巻かれている。
一瞬でケンカで出来た傷じゃないかって、想像させた。
「ちょっと待って!」
「どゅうおわ!」
病院の出入り口、自動ドアに差し掛かった所でぼくが声をかけると、彼は訳の分からない言葉で身を仰け反らせた。
「な なんすか!?」
「君 シンノスケって言うんでしょ!?」