0021 千代田 マリヤ (9/85)
「はい?」
ここはぼくの店から近くにあるキャバクラ。
ぼくは今、これから出勤するキャバ嬢の髪をセットしていた。
普通はバイトの感覚で、美容師個人個人で、そのキャバクラ専属のヘアメイクになる事が多い。
けどうちのオーナーとこっちの社員の繋がりで、このキャバクラはぼくが勤めている美容室の顧客だった。
結果、こうやって時々、一部の従業員がおもむく。そしてキャバ嬢の髪を盛ったりメイクを手伝ったり。
ぼく自身も、これが1日の締めくくり。仕事の一部だった。
「やけーさー 最近ジュリア見ないけど 知らんかって」
西日本方面の中途半端な訛り。直そうとして直らない、ざまあみろな田舎者。
ぼくが、よく着くこのキャバ嬢はサチ…さん。
強気な性格に、紅い髪。痛み過ぎて逆にセットがしやすい。
全部切って生え変わらせてやろうか。
下品な紅い髪も、年下の癖に偉そうな性格も、ぼくより遥かにキレイなのにコンプレックスの塊である所も、代表と寝ているのは自分1人だと思っていることも、全部大嫌い。
ぼくみたいな人間とは正反対のギラギラ女。
「…そういえば 最近 見ない ね」