0021 千代田 マリヤ (8/85)

明るくて、快活で、男勝りで。


最初は苦手なタイプだったけど、ぼくみたいな根暗な子にも、彼女は普通に接してくれた。


当時十代だったぼくにとって、憧れの存在だった。


やがて、彼女はぼくの実家にも遊びにくるようになった。


ぼくの親も、娘が初めて友達を連れて来た事に戸惑ってはいた。


けど、彼女の人柄をすぐに気に入ってくれた。


ぼくの家族も、ぼくも、彼女の事が大好きだった。


いいえ、むしろ。


ぼくは彼女の事を憧れ以上の目で見ていた。


思い起こすたびに上気する初恋。


一片のピースを手がかりに当時を辿ると、次のピースが浮かび、ハマリ、見えて。


感情や匂いすらも。


当時は叶うはずも無い女同士と、心密かに想っていた。


そうだ。眠る前、枕に顔を埋め、彼女かぼくかが男だったらと、声を押し殺して泣いた夜もあったんだ。


それでぼくは、男になるのを夢見て、自分の事をぼくと呼ぶようになったんだ。


当たり前の様に忘れていたルーツ。年かな。


そして何の皮肉かイタズラなのか、まるで生まれ変わったかの様に。


今になって彼女は男性として、ぼくの前に現れたんだ。


「ねえジュリア知らん?」


鏡越しに言われた言葉。ハッとする。