0006 豊島 アヤカ (3/64)
「アヤカさん 今日4本目すね」
店の待機室で、後輩の女に話しかけられた。
歳は恐らく20代後半だが、35と言われても信じる。
爆乳だが太っていて、ドMで売っている為なのか体中ミミズ腫れやアザだらけ。
そして何より口が臭い。
喋るのが好きらしいが、同業の子みんなに嫌われている。
この店に入って間も無いからか、あたしに話相手になってもらいたいようだ。
そのわりには返事に困る事ばかり話しかけてくる。
「まぁ」
精一杯素っ気無い返事をしたが、後輩は続けて喋りだす。
「借金?それともホストとか!?」
風俗嬢が風俗嬢に聞く内容じゃねえだろ。
とにかく答えたくねえしと思って、会話に間が空いた。
運良く、あたしは上がる時間だったので適当に挨拶して、すぐに店を後にする。
今日はセイヤに呼ばれ、カラオケに行く日。
超会いたい。早くセイヤに会いたい。
風俗には色々あるが、細かい定義はあたしもよく分からない。
あたしが今働いてるのは、一般的にイメクラと呼ばれる店だが、風営法やらの関係で、客の待つ店の近くのホテルまであたし達が出向く形体だ。
他にもソープでも働いている。初めは違ったけど、今では全部セイヤの為。
セイヤとの待ち合わせは、カラオケの中。
セイヤはすでに部屋に入っている。
セイヤはいつも、人通りを避けた会い方をしたがる。
けど、そんな事はいい。会えるだけで濡れるほどうれしい。
あたしは久しぶりに会うセイヤを想像しながら、カラオケに入って行った。
メールで教えられた部屋に入ると、部屋中にセイヤの匂いがする。
「セイヤー!」
ソファーに座るセイヤに、あたしは心からめちゃくちゃ甘えた声を出す。