0006 豊島 アヤカ (2/64)

汚いホテルの小さな部屋。


薄明かりの中で客は言う。


「ハァ 指名したんだからさあ 本番させてよう」


甘えた口調で客は言う。


男は30代後半で腹が出て、髪の毛以外の体毛の濃い自称営業マンだ。


でもこんな奴からコピー機を買いたいとは思えない。


「いいよ」


騎乗位の状態で答えたあたしに、奴は犬みたいに急いで抱いてきた。


ローションを使っていたが、最近無理した連日の接客の為ヒリヒリして少し痛い。


「ん」


こんな奴にリップサービスをするつもりは無かったが、お腹から突き上げてくる衝撃で、嫌でも声が出る。


「アヤカちゃあん感じてんだろ?」


「んん」


彼の言葉責めに対し、可も無く不可も無い返事をしながら、あたしは事が終わるのをひたすら耐えた。


口の中に指を入れられ、イヤラしく舐めるよう言われる。


それをすると彼は、たったの数分後に果てた。


その時がくると左胸を強くわし掴みされ、痛かった。


事が終わり、ワイシャツのボタンをしめながら男は言う。


「また指名するからね」


「うん 待ってるね」


接客の時は高い声を出し、ニャンニャン言葉を話す。


吐き気がするほど面倒くせえ。


客より先にホテルを出て、待機していた車に乗る。


死ぬほど腹が減ってるけど、車に置いてあるガムで我慢する。


「あ゙ー だりい」


毎回、仕事が終わったら送迎の運転手に聞こえる愚痴を吐く。


お味噌汁とか、白いご飯。


最後に食べたのいつだっけ。