0001 港 タキオ (13/19)

ジュリアは用意したグラスのフチに水を付けると、卓の上に置いてあった、ファミレスにも置いてある様な、メの荒いペーパーティッシュを取り出した。


それを1枚、水の付いたグラスのフチに付けると、グラスの円が水によって紙に浮かび上がる。その紙の全体をグラス沿いに手で包み込むと、力を込めつつ、ゆっくりと下に引っぱる。


すると濡れた円を境に紙は引き千切れ、小太鼓の様なものができた。


「やった! 1発でできた!」


喜ぶジュリアに、僕の隣の景色のキャバ嬢が口を開いた。


「すごいじゃん」


「へへ サチさんタバコあります?」


タバコ?


まだどういうゲームか分からない友人と僕に、ジュリアは説明を始める。


「みんなタバコ吸う人だよね?」


僕と友人はうなずいた。


「今からみんなでタバコを吸って タバコの火を順番に1円玉を乗せた このグラスの紙に当てるの」


グラスを、4人が座る卓の中心に安置しながらジュリアは続ける。


「1円玉が グラスの水に入ったら負けなんだ」


なるほど。友人も理解した様子だった。


「地域によっては灰を落としたら負けとかなんだよね」


景色のキャバ嬢もシャシャってきた。


黙れ 景色。