0001 港 タキオ (12/19)
機嫌の悪そうな友人を尻目に、ジュリアは目をキラキラさせる。
「いいよー 何のゲーム?」
僕の隣の景色のキャバ嬢も、身を乗り出して興味があるような素振りを見せてくれた。つまらない会話をするより、ゲームやカラオケでやり過ごす方が楽なんだろう。
不意に、紅い髪の景色女が付けていた銀のブレスレットが目に付く。どうせ男にでも買わせた代物だろ。チャラチャラしやがって。
「良かったら君の知ってるゲームを教えてくれよ」
僕はジュリアにそう言った。
「えー どうしよう」
景色がジュリアへタバコの先を向ける。
「タバコのやつは?」
「あ いーですね」
そう言いながらジュリアはグラスに水を入れ、グラスのフチへ丁寧に水を付け始めた。
「あれ? こうだっけなあ」
楽しそうに独り言を言うジュリアに、僕と友人は興味の視線を送る。綺麗なルックスだが、全ての行動を少女の様に可愛く魅せるのも、この女の魅力なのだろう。