0001 港 タキオ (11/19)
もしジュリアがSCMを付けていて、勝負に勝てばこの女が丸ごと俺のもの。
SCMの力が本当なら、この綺麗な女の全てが僕のものになる。
普段なら、こんな非常識な力、試そうとも思わない妄想。
なのに得体の知れない緊張感と、腹の下に黒い興奮が確かにあった。
我慢してから出した、小便みたいな興奮。
もしこの機械の力が本当なら、今やる事はただ1つしかない。
常人なら信じる訳の無いこの力。今の僕は心から信じたいと願う。
「なあ ゲームしない?」
腹の下の黒い興奮した感情は、とうとう言葉になった。
女の子が着いてから互いに干渉せず、別世界で女の子と雑談をする。
今はそんな空気だったが、僕はそれを壊そうとしていた。友人は少しムッとしている。
無理も無い。彼は僕に高い酒をおごっているのに、僕は彼を立てるどころか、大切なジュリアとの時間を邪魔しようとしているんだ。
しかし僕の覚悟はすでに大きい。
最悪でも2度と会わないキャバ嬢2人と、スロットとキャバクラに入れ込むどうでもいい友人を失うだけだ。