0020 板橋 ゲッコウ (63/82)

生暖かいあいつの手、少し汗ばんで。バイ菌が、粘膜が、体液が、移る。


拭いたこのズボンでさえ、捨てたい衝動に駆られる。


そして、ツバキと教頭の言葉が我を突き抜け、壁まで当たる。


透明なのはお前らの言葉か?


それとも我か?


現世(うつしよ)を解脱(げだつ)し、可能なら人間すら止めてしまいたい。


脳裏に浮かぶはどこかで見た、雲の上の天上の世界と、羽根の生えたマリア様。


汚い大人達の言葉達に包まれながら、我はそんな事を考えていた。


やっと解放されたのは3時間目に差し掛かる頃だった。


黒板を眺めるも、頭の中はいかにしてマリア様に喜ばれるかで、一杯だった。


そう、我は忙しいのだ。勉強など、している暇は無い。


授業をやり過ごし、やっと昼飯の時間になった。


脳を使った為か、腹がかなり減ったな。本来だったらスパゲッティを食べたい所だが、腹立たしい事に、うちの学校の献立にはスパゲッティが無い。


仕方なく、ラーメンを食べる事にした。唐揚げが乗っていて、ご飯も付いてくる。うむ。嫌いではない。


ラーメンを乗ったおぼんを持って、並んだテーブルを眺めた時、ふと孤独を感じた。