0020 板橋 ゲッコウ (47/82)
「早速ですが台東さん 一応テストです」
ツバキンは脇を広げ、彼女を見下ろした。
「嗅ぎなさい」
「え?」
は?
我は思わず声を上げそうになった。あの野郎、ツバキン!
自分のワキガを嗅がせるだと!?バカかあいつ!?
そんな下らない命令、聞く訳無いだろう!
そう思った矢先。台東は立ち上がり、ツバキンの脇に顔を近付けた。
近付ける手前、自身の髪をかき上げる仕草に、女を感じた直後。
彼女の顔が、男の脇に埋もれた。
「ハハッ アハハ!」
ツバキンの声が、保健室に響く。
我は見るのを止め、扉を背にして力無く廊下にしゃがみ込んだ。
大人は、何て汚いんだ。
馬鹿馬鹿しい情景にも見える。だが、我にとってはそれを越えた嫌悪を、あいつの所業から感じていた。
ツバキンはあれでも、生徒から好かれていた。ワキガでも絡みやすいとか、優しいとか、皆から慕われていたのだ。
それが、一皮剥けたらどうだ、単なる変態じゃないか。