0020 板橋 ゲッコウ (44/82)
「そうやって 心をネジ曲げれば 無理矢理思い込めば 僅かに主人にを背く事が出来る」
我にも分かる。
あの女は、今、何かに抗っている。
恐怖、嫌悪、嘔吐感。それらと似た何かに、耐える顔。
何故分かるかと言うと、あの顔は我が鏡の前で見てきた顔だから。我にも、覚えがある。
「そう 抵抗したら殺される 抵抗したら殺される」
ツバキンはそう呟き、懐から取り出したSCMを自分の口に入れた。
やはり、あいつも持っているんだ。
「僕の奴隷になれば このリストを差し上げます」
ツバキは再びあの書類を扇いだ。
「この 購入者リストをねえ」
購入者リスト。SCMを手に入れた者のリストか。
確かに重要な物な気はするが、台東は何故それを欲しがるのか、我には分からない。
台東本人は、相変わらず苦痛の表情で固まっている。
「流石に 自ら着けるのは難しいですよね」
ツバキンはそう言うと、台東の口元に手を近付け。
「はっ がっ」
台東の唇を、無理矢理こじ開けた。