0020 板橋 ゲッコウ (33/82)

2人。我の中で戦火を行進する軍団のシルエットが、白抜きの景色に浮かぶ2人の影になる。


「分かりました」


テンションが少し下がった気がするものの、我とマリアを入れて4人と思えば、僅かな勇気が湧いた。


そうだ、我らには勝利の女神、マリア様がいる。彼女さえいれば、何者にも負ける気がせん。


我との会話に間が空くと、マリアがペダルを踏み直し、行ってしまいそうになる。


「あの!マリア様!」


「今度はな あ に?」


夢中でもう1度マリアを呼ぶと、彼女は鬱陶(うっとう)しそうに力を込めた返事で、再び振り向いてくれた。


我は慌てて携帯を取り出す。


「いっ 一緒に写メを 撮ってもらえませんでしょうか?」


「はあ?写真?何で?」


「あの 絆が欲しいと言いますか 思い出というか記念というか」


マリアが黙ってこちらを見ている。我は気まずさに耐え切れず、更に話し続けた。


「お願いします!大切にします!宝物にします!」


それらは本当だ。我はマリアの何か、片鱗でもいい、髪の毛1本でもいい。


彼女を感じる、見える何かが欲しいのだ。


「悪用したり人に見せない?」