0020 板橋 ゲッコウ (31/82)

マリアが不思議な詞を歌う。


「その歌は?」


我がそう聞いても、マリアは相変わらずハミングして歌っていた。我の声は聞こえているはずだ。


「マリア?」


再度呼んでも応えてくれない。何故、我を無視する?


「あっ」


そうか。直後に、マリアの訴求を思い出す。


「その歌は、何でしょうか?マリア様」


敬語に直し、様を付けるとマリアは初めて振り返る。やはり、様を付けないと応えてくれないという事だろう。


「うん ロシアのリュヂューイっていう遊び歌」


「リュじ?ロシアの遊び歌?」


「日本で言ったら ど れ に し よ う か な♪みたいな選び歌ね」


「ほう マリア様は博学なのですね」


我がそう言うと、マリアは再びロシアの遊び歌を口にする。


何度か聞く内に、我も覚えてしまった。



♪黄金の表階段に座っているのは皇帝、皇太子、王様、王子、靴屋に洋服屋。お前は誰になる?



善良な人たちを待たせずに、早く出てこい!



明るい曲調で、子供用の遊び歌らしいが。


まるで裏切り者を探す様な歌と、我は感じた。