0020 板橋 ゲッコウ (21/82)

「歯の 矯正器?」


「違うよ SCMって言うの」


「あっ ああ」


見た事も聞いた事も無いが、何となく、知らない事が恥ずかしいと思ってしまった。


「知ってるの!?」


曖昧な返事に、マリアのテンションが一気に上がる。


「ああ まあな」


「そっか 意外と有名だもんね ネットやってるし特に」


まずい。我はこれを知らない。


「でも見て これ本物なの すごいでしょ?」


机に置かれたビニールに包まれた器具。単なる入れ歯にしか見えないが、そんなにすごいのか、これは。


「まっ まあまあだな」


我がそのSCMとかいう器具を触ろうとした瞬間、伸ばした手をマリアに叩かれた。


「あだっ!」


「触らないで!苦労して手に入れたんだから!」


「すっ すまん!」


しまったああああ!簡単に触ってはいけなかったのか!


「興味あるの?SCMに?」


興味も何も、分からない。知らないのだ。だが、今更実は知りませんこんな物とは言えまい。


「まあな 以前から関心はあった」