0020 板橋 ゲッコウ (20/82)

「退屈しのぎにさ ゲッコウくんのサイト見てたんだけどね そう思う奴多いよね けどぼくも10代の頃は同じ様な事考えてたなあとか 思いながら 見てたんだ」


「そうなのか」


そう言えば、我の相談サイトは中高生が対象にも関わらず、マリアは30代だった。


改めて生の声を聞くとむず痒いが、我のやっていた事が思わぬ方向から誉められた気がして、誇らしかった。


「うん 何か みんな弱すぎ甘すぎ頼りすぎ 彼氏に振られそうだからどうしたらいいとか 彼女が欲しいとか 術を知らないのは分かるけど もう少し自分で考えたり調べたり努力しなって思うね むしろ苦労っていうかさ 次 自分が何をすべきって 考えるべきだよね」


「ああ」


相槌を打ってはいるものの、会話に着いていくのに必死だった。


ネットで知り合った彼女こそ我が師。彼女から学ぶ事は沢山ある。


それに他人、しかも女性と会話したのは何日振りだろうか。うまく会話出来たかとさえ、心配になる。


「もうみんな奴隷になって ぼくの言う事聞けって感じ」


「え?」


今までの話と何の脈絡も無い、奴隷という言葉が我の心に木霊した。


「ね これ知ってる?」


マリアは印象的な言葉の後、バッグから歯の矯正器の様な物を取り出してきた。