0020 板橋 ゲッコウ (14/82)
「たっ 頼む」
我の覚悟に、マリアは渋々と準備を始めた。
耳元でジョキジョキとハサミの音が鳴り、眠気を誘う。途中、他の従業員と会話を挟んだりもしたが、マリアは黙々と作業を重ね、やがてブリーチの刺激臭がした。
いよいよ脱色の段階になり、我の心臓はバクバクと高鳴る。昔、自分で色を抜き、茶髪にした事はあるが、今回は白に近くなるまで脱色するのだ。
我は生まれ変わる。マリアの手で。
本当に色が抜け切ったか心配にもなったが、全ての工程が終わり、乾かした髪を見た時。
「おお!ほおお!」
生まれ変わった自身の姿に、我は興奮した。
「ひっ ひゃっはっ!」
「思ったよりしっかり色入ったね むしろ抜けたね」
我の毛先を確認するマリア。我の髪は輝く白金色になっていた。
「れっ 礼を言うぞマリア殿!」
「何か 実際話してて思ったけど ゲッコウくんってお侍さんみたいね」
マリアは疲れた様子でそう言っていたが、我は鏡越しの自分に酔っていた。
時間は既に0時を回り、他の従業員は帰っている。