0020 板橋 ゲッコウ (12/82)

「今のお客さんで最後だったんだけど 注文が多くて 手間かかっちゃった」


その女性は、短髪の真っ黒な髪の毛で、首、むしろアゴが無い。


下唇が飛び出し、目はグリッと見開きギョロギョロしている。肌は化粧で隠せないブツブツが見えた。


何より目を見張るのは体型。ムチッとした肉付きで、まるでダルマの様な寸胴だった。


身長も低い。マイクロミニのスカートから、田舎の大根の様な足が飛び出し、白のシューズが見えた。


こんなタイプの女性、今まで我の周りにはいなかった。


彼女がマリア。この背の低い、ドワーフの様な彼女が。


なんて、なんて。



「美しい」



「え?」


「あ いや なっ 何でも無い 気にするな」


思わず口に出てしまった。我は自身の感動を、偉そうな言葉使いで必死に隠す。


「なんか想像と違うね もっとガサツな子かと思ってた」


「わ 我はガサツではない!」


我の言動にマリアが少し笑う。たまらなく、嬉しかった。


そして我も想像と違った。現実のマリアは我の想像を絶する美しさだったのだ。むしろ好みだ。


「ねえ 髪切りたくない?切ってあげるよ」


「えっ?一体 ど どういう」


突然の提案に戸惑い、我は自身の額に手を当てた。視界を邪魔する前髪が手に掛かる。